澤田瞳子作品。1977年京都生まれ。同志社大卒。時代小説が多い。
この作品も江戸の絵の大家伊藤若冲に焦点を当てて作家の感性がきれいな文章を紡ぐ。
だから読むほうもしっかり読んでしまうから時間もかかる。
『若冲』
青物問屋の惣領に生まれた茂右衛門(のちの若冲)は家業よりもに絵描きに。
嫁を貰うが嫁は姑にいびられ夫は理解を示さず自死してしまう。嫁の弟は茂右衛門のせいと怨みを抱く。茂右衛門は後悔の念と申し訳なさでますます家業から離れ画業に没頭しついには早めに弟に家業をゆずってしまう。若冲の理解者は父の妾の子志乃であった。身の周りの世話や画業の手伝いをする。伊藤若冲に怨みを抱く元嫁の弟が若冲の偽作を作ることで怨みをはたそうとする。それを乗り越えようと若冲一層はげみ特異な境地へと進みそれが評判を呼んでいく。池大雅・円山応挙・与謝蕪村・谷文晁らと適度に交わりつつ80歳を越えるまで名を変えた弟市川君圭との確執を抱えてお互いに確執によって成長していく。そのふたりの様子を志乃の目は見つめていく。志乃はかって君圭が弁蔵といった若いころ心を寄せていた時期があったから二人のことは分かるのだ。
(伊藤若冲の絵は孤独と絶望が作り上げたという。)
☆☆☆