仁木秀之『三舟、奔る!』を読む。

仁木作品。初めての作家。1973年大阪生まれ。2016年作品という。

三舟とは勝海舟山岡鉄舟高橋泥舟の3人という。友人だったり親戚だったりと幕末ごろの同じ時代を生きての交流した武士の話。いずれも刀や槍の使い手だったという。勝海舟は分かるけれど他は何で名を成した人かよく見えない。

『三舟、奔る!』

山岡鉄舟は若いころ小野鉄太郎といい郡代の次男で小野一刀流の流れを汲む家に生まれた。親の郡代朝右衛門が3000両と幼い子供たちを残して亡くなる。子供たちを養子にする持参金と言い残す。鉄太郎は江戸にでて幼い弟たちを遺言どおり養子に収めたあとは無一文に。剣と書に努力して皆伝を得た鉄太郎は麟太郎といわれた海舟や槍の名手山岡紀一郎やその弟謙三郎や千葉周作や清川八郎らと交わりながら幕末の幕府側と勤皇方の事件に関わっていく。麟太郎に連れられて吉原に通い葛城という女性に手ほどきを受けるも葛城は黒刀組というやくざまがいの組の忍者だったりという事件もあった。

(乾坤只一人という言葉を師に教えられた鉄太郎は誠実一徹・世に長けた麟太郎を中心に物語は展開する。乾坤とは天と地という意味だという。)

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