宇佐美まこと『骨を弔う』を読む。

宇佐美まこと作品。初めて読む作家。1957年愛媛県生まれ。ミステリー作家?

面白いもう1冊読みたいと思った。本のなかで宇佐美作品を何度も自画自賛する。

『骨を弔う』

替出町という集落に住んで幼馴染の豊・哲平・正一・真実子・京香。決断力も行動力もある真実子がリーダー的存在で京香がべったりで男たちは従う立場。彼らの一番印象に残っているのは真実子が提唱した理科の先生への嫌がらせで学校から持ち出した骨格標本をそれぞれがリュックに入れて山の中に埋めるという作業。

替出町は大規模施設の建設が計画されてみんな町を出ざるをえなかった。

卒業して30年ほど経ってそれぞれが別な人生を歩んでいるなかで替出町の広報で堤防の決壊で骨格標本が発見されたという小さな記事を見て豊が疑問を持ってあの作業はなんだったのかと。もう一度子供のころに戻ってやり直そうとみんなに連絡をとる。

真実子は若くして白血病で死んだというので残りの者でもう一度埋めたという場所に行って確かめる。そこから見えたものは埋めたのは本当の人骨だった。人骨は誰のだったのか。聞き取りをした豊の推理は真実に迫っていく。実は真実子は生きていてミステリー作家宇佐美まことになっていたというオチまでついていた。

(聞き取りする中でそれぞれが震災で家族を失った正一や県議員と結婚してた京香や結婚できなくて父ともめて木工細工職人になった豊や営業マンになって編集者と同棲している哲平など。それぞれが悩みや苦悩を抱えていた。豊の聞き取りが再スタート起点に。)

☆☆☆