#藤田宜永『女系の教科書』を読む。

藤田宜永作品。出版社を辞めた中年の森川崇徳氏は姉たちや子供・孫もみんな周りは女性ばかり。深川という東京下町から出たことのない下町好きの大家族の優男が主人公。

自伝小説かと思わせる作品。

『女系の教科書』

母は施設で。姉たちふたりは夫を亡くしてひとり住まい。彼女たちの子供も女性ばかり。崇徳氏の子供は3人。長女美千恵は競艇選手で夫はサラリーマン。次女小百合は妻子ある男に恋して別れたばかり。三女朋香は結婚して崇徳と同居、孫は女児2人。崇徳は出版社を辞めて市民文芸講座の講師を務めている。生徒のなかで目立つ女性が小説を描きたいとしているのだが下町の簾屋の夫清吉は頑固で昔かたぎで勘当された長男のところに避難している。ひょんなことから清吉と酒飲み友達になってしかも知らないうちに清吉の長男の脚本家・俳優と小百合とができてしまう。さらに深い家族関係で交際が始まる。崇徳は妻に先立たれていて温子という医療関係者と結婚しようと交際中だ。

母の症状が悪くなって延命治療の問題や兄弟から交際を申し込まれた小百合の話や昔かたぎの下町の職人の話や下町の祭りの話などに女たちの口・口が加わって賑やかだ。

(姉妹や女の子たちや孫たちなど下町の近所に集まっているので密な大所帯が描かれるので最初はどうなるかと思ったが徐々に下町らしい軽妙な会話が楽しくなってきた。)

☆☆☆

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