小野寺史宜『夜の側に立つ』を読む

小野寺史宜作品。これで「まち」「ひと」「LIFE」などから5冊目。今度は筧ハイツから離れた高校3年からバンドを組んだ若者たちの青春から大人になる話。「夜の側に立つ」とはずっとまともに生きてきた若者がちょっぴり悪意を抱いた時という意味なのかな。筧ハイツの時の本よりスパイスがきいて面白い。

『夜の側に立つ』

高校3年の時に文化祭のためにバンドを組んだ。野本了治・生徒会長榊信明・副会長昌子・イケメンの勉強も運動も楽器も上手い壮介・美人で人気でサックスも上手い君香。

信明が提案して人を集めた。バンドのリーダーは野本だ。野本以外は学校のスターだと野本は思っている。君香と壮介・信明と昌子は付き合っている。高校をでたらそれぞれが別な道をゆく。野本は本当は君香が好きなのだが自分が資格があるとは思えない。信明だけが大学に行かずに父の後を継いでスーパーをやることになってる。

そんな若者たちの10代・20代・30代・40代が前後しながら描かれる。野本には高校生のころに隣の奥さんに裸にされて童貞を奪われた過去と高校教師になってから生徒の親と付き合ってると糾弾されて退職するという過去を気にしている。

壮介と君香は結婚した。信明と昌子は別れた。信明は同級生と昌子は職場の研究者と結婚して米国に渡った。40歳前に湖でバンド仲間と集まった。そして事故が・・・。

(高校の時の卒業前のバンド演奏が一番輝いていた。みんな思っていた。だから60歳になったら演奏しようよと約束して湖で楽しく飲んだのだが・・・・・。)

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