池井戸作品。やっぱり池井戸作品に流れるまじめ・正直・人間らしさ対派閥・陰謀・悪みたいな対決は読んでいて気持ちいい。この本も「人として正しいかどうか」企業も人なり。「コンプライアンス」といいつつ法律を守りさえすればいいという考えの蔓延への否定だ。
『下町ロケット ゴースト』
宇宙開発機構から町工場の社長になった佃航平。取引先大手から難題を持ち込まれながら社員一丸でなんとか前に進んでいる。業績を安定させるべくロケットのバルブからトラクターのトランスミッションのバルブに手を広げようとやっとコンペに参加し勝ち取る。大手帝国重工を失意のままに退職した伊丹と天才技術者と言われた女性技術者島津。二人は共同でミッションを作る会社ギアゴーストを立ち上げて軌道に乗り出したころ佃製作所はバルブで参入を目指すのだがギアゴーストに難題が・・。外資大手から特許違反で莫大な損害賠償を求められる。心配した佃社長は顧問弁護士に相談。法廷闘争に持ち込むが・・。実はギアゴーストの顧問弁護士と外資大手の弁護士がつるんでギアゴーストを潰す算段だった。佃製作所の弁護士は策謀を見破って勝訴するのだが伊丹は佃製作所と手を組むよりも帝国重工への復讐のほうに走る。島津は失意のままギアゴーストを退社する。
（儲けよりも人の道。社員を大事にする佃社長。銀行からの出向で苦労した殿村経理部長は３００年続いた農業を継ぐべく病気の親の元へ。それに涙する佃社長だ。）
