吉田修一作品。犯罪小説集という短編集も出しているがこれも短編集。
「逃げる」というテーマで4編の短編を収録している。
「逃げろ九州男児」「逃げろ純愛」「逃げろお嬢さん」「逃げろミスターポストマン」
『逃亡小説集』
「逃げろ九州男児」は老いた母を市役所に連れて行った帰りに一方通行を間違えて車を走らせたところにパトカーが。なぜか停止するつもりが逃げ出した。ヘリやパトで大事になりつつ兎に角逃げた・・・。
「逃げろ純愛」は高校生が女子教師35歳に恋をした。関係をむすんで生徒は燃えた。
学校に知れて沖縄にふたりで逃げた。ふたりは恋愛をした。教師は逮捕された。
「逃げろお嬢さん」は温泉宿を経営している男は子供のころから好きなアイドルがいた。アイドルは俳優と結婚するのだが夫は「くすり」で捕まった。アイドルは逃げた。
温泉宿のほうに逃げてきた。指名手配されていた。パンクしたアイドルを助けて好きなアイドルに驚いてこれはドッキリだろうと。警官が温泉宿にやってきた。なぜか自分はアイドルを守る気になった。
「逃げろミスターポストマン」は別れた妻の弟は郵便配送の仕事をしていたが仕事中に行方不明になった。網走のウトロの話である。数日してラインがきた。「ごめん」という。雪に閉ざされた漁師小屋に向かう。ゆっくりしか走れない郵便車のために交通トラブルになって相手を殴って嫌になって逃げたという・・・。
(ちょっとして逃げたくなる心の機微が描かれている本)
☆☆☆