吉田修一「怒り」読む。

    芥川賞作家である吉田修一
                  文章の一番綺麗な作家だと思っている。
          「悪人」は評判になったから読者は多いだろう。

   「怒り」上下巻
     八王子の夫婦虐殺事件をめぐり、それに振り回された
                 3組の家族と犯人を追う刑事の話である。
     題名の怒りは何に対する怒りなのかは具体的には明示されてはいない。
     テーマは人を信じるということの意味なのだろう。

     人は自分の子供にたいして。
     人は恋人に対して。
     人は友達に対して。人は人に対して信じているよという。
     しかし 人は信じているよといいながら信じられない自分がいる。
     それが人間のもつ悲しい性なのではないか。

     自分は「怒り」とは信じているといいつつ信じられない自分に対する
     「怒り」なのかもと思った。
     3家族が同時進行で進むのでそれに慣れればあっという間に
     読み進んでしまう本である。映画にもなったという本である。
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