折口真喜子『恋する狐』を読む。

折口真喜子作品。「踊る猫」に次いで2作目である。前回と同じ短編で俳人蕪村がでてくる大人の童話のような作品。蕪村の絵のようなほっこりする作品。9編が収められている。

『恋する狐』

「蛍舟」は悪友たちで島原に遊びに行こうと誘いあったのだが結婚している徳三郎は嫁に蛍を見に行くなら子供もと。結局蕪村とともに舟で蛍を見に。そこで船頭がいうことには・・。「いたずら青嵐」は青嵐の吹くころの蕪村と悪ガキの掛け合い。

「虫鬼灯」は蔵の中で寝てしまった子供が蔵の妖怪に虫の食ったホオズキを提灯代わりに持たされる話。「燕のすみか」は家の軒をみていたら燕の子安外を見つける。兄嫁に与えて子供が生まれるのだが自分は・・・。「鈴虫」は家に伝わる(鈴虫)という妖刀を買いたいという人が出てきた。主は売ることにするのだが娘は突然反対する・・・。

「箱の中」は天井裏に祖母が開けてはいけないという箱を娘が見つけた。いろんな物が入ってた中に小箱があってその中に小鬼がいた。「鵺のいる場所」は蕪村がたくさん子供が遊んでいる所に行くと男の人を見ると奇声をあげる娘がいた・・・・。「ほろ酔い又平」は蕪村と若冲の絵具に対する違いが絵の違いになっているという話。「恋する狐」は蕪村が祭りの夜にフラフラしてると若い公達にであった。一句公達に 狐化けたり 宵の春。

(蕪村が子供にいう「なんか面白い事ないかと言うてるヤツが一番ダメや。目の前にはたくさん面白いことがある。」それに気が付けば人生は面白くなる。)

☆☆☆