宮部みゆき『黒武御神火御殿』を読む。

宮部みゆき作品。ご存じ「聞いて聞き捨て、語って語り捨て」と袋物屋の三島屋で怪奇な出来事を聞く話。以前は娘の「おちか」が聞き役だったのだが嫁に出て今度は息子の富次郎に替わった。

560頁と長編に4篇の話が語られる。

『黒武御神火御殿』(三島屋変調百物語六之続)

「泣きぼくろ」は語りてを斡旋する灯庵老人が富次郎の幼馴染。長兄の嫁が突然次男の寝ている布団に這入っていくということに嫁には泣きぼくろが付いていたという。次には幼馴染の出戻りの長姉に泣きぼくろが。それで幼馴染の家がめちゃめちゃになるという話。

「姑の墓」は養蚕の大家の家々のお墓が山の上にあった。墓参りの後では墓の前で宴会をする習慣があった。語りの大家の家では女たちだけは墓に上がることはできないと伝えられていた。それはかって墓に登る階段で落ちて死んだ人がいたという。息子の新しく来た嫁はそれを改革しようと墓参りに女どもも行くと帰りに・・・・・。

「同行二人」は飛脚の亀一の語り。忙しい飛脚仕事で地方を回っている間に娘が流行り病で失い、妻も又気にして死んでしまった。亀一は心を強くして飛脚稼業をしている時

後をつける人がいることに・・・。足もなくのっぺらぼうのその人は寛吉で同じ境遇の男だった。なんとか寛吉を成仏させようと・・・。

「黒武御神火御殿」は半纏の裏に張り付けられた布をはがしたらひらがなの文字は。

それは耶蘇教のオラショの言葉だという。その半纏には奇怪な出来事があった。

人殺しなどを犯した人たち6人がそれぞれに道に迷い御殿のようなところに迷い込む。

なんとか協力して出ようとするのだが・・・。その半纏は道に迷った二葉屋に勤める女お秋がその奇怪な出来事に出会って助かって持ち出した半纏だった・・・・。

(ちょっと長い話だったなあ。この御殿の主は耶蘇教を一心に信仰してきたのにあるとき疫病が流行り民がたくさん亡くなった。主はなぜこんなに信仰したのにと伴天連を追追放した。しかし幕府はこの主を流罪に。主は御神火の火口を見つつこの御殿を・)

☆☆☆