宮ノ川顕『斬首刀』を読む。

宮ノ川作品。「化身」に続いて2作目を読む。幕末の攘夷運動と現代の農園に働く米国帰りの女性と祖祖父が残した大戦の米軍機が不時着の際に残したとされる原爆をさがす男の話が描かれる。

『斬首刀』

父の知り合いの筑波の山にある農園に米国帰りの風子がやってきた。この村はかって攘夷運動で立ち上がった藤田小四郎主宰の天狗党の発祥の地。祖祖父がかってこの山で炭焼きをした時に終戦間際に米軍が不時着したと伝えられその飛行機には原爆が積み込まれ米兵が皆殺しされたと伝えられていた。バイクに乗ってその原爆を探す若者雷太が村にやってくる。雷太は母が米軍あいてにバーをやり姉が駐留する米兵に殺されたと信じて治外法権の米国に恨みを持っていた。村の老人から祖祖父が隠したと思われる場所が特定されるのだがそこは天狗党の霊田中愿蔵が支配する霊界。なんとか原爆を確保して米軍基地の前に雷太は置いてくる・・・・・・・。

(愿蔵は鎖国が続いていれば大戦もなく原爆もなかったという思想。米兵を殺したのは雷太の祖祖父とされていたが愿蔵が祖祖父に乗り移ってやったこと。霊界と現世を通じさせてくれたのは風子が飼っていた子犬。殺された犬が救ってくれた・・。)

☆☆