なかにし礼『長崎ぶらぶら節』を読む

なかにし礼作品。先日亡くなった著名な作詞家。作家のほうは知らなかったのだが直木賞も獲得した小説家でもあるという。この長崎ぶらぶら節が受賞作。やっぱり直木賞受賞だけのことはある。本から音が出てきたら最高だろうなあ。

江差江差追分が結構でてくる。なにしろ「雪」の母の生まれが函館で父は江差でやん衆をやってて江差の居酒屋でしりあって結婚したというから読んでいて楽しい。

長崎ぶらぶら節

長崎の一山越えた網場で生まれたサダは長崎の妓楼に売られて行く。器量はともかく歌と三味線などの能力は抜群で愛八という名の名妓として育つ。旦那のいる身でありながら古賀十二郎という長崎の歴史一辺倒の9人の子持ちの学者に年増になって恋をする。けじめで旦那とも別れる。古賀から一緒に長崎の古い歌を掘り起こすことを提案されて好きな人のために訪ね歩いて長崎ぶらぶら節を発掘する。花売りのちいさな頃から同じ境遇で可愛がっていた雪が同じ妓楼の芸岐となったのだが肺病に。愛八はなんとか入院して完治させるべく涙ぐましいお金の工面をする。長崎らぶら節のレコードをだしたり江差追分調の浜節を古賀作詞・愛八作曲の歌などもだして雪の入院の工面したりする・・・・・。学者古賀は金持ちの跡取りなのに全財産を食いつぶすほどの学者バカ?ふたりは清純な愛を育てて雪に後を託す。そして愛八は長崎の有名人になった。

(故郷江差江差追分がでてきて長崎の話なのにすっかり引き込まれた)

☆☆☆☆☆(なかにし氏のご冥福をお祈りいたします。)

f:id:yamachanmamechan:20201229141716j:plain