角田光代「ツリーハウス」を読む。


   角田光代作品は3作目。
        ツリーハウスは3代にわたる469頁の長編だ。
  「ツリーハウス」
    国策に乗って満州に渡った男(泰造)がソ連の進駐で女装までして
    中国に逃げて、そこで男に騙されて単身中国に渡ってバー勤めをする
    女(ヤエ)と出会うのだが終戦の混乱のなかで戦死した男の子供を連れて
    泰造とヤエは内地に引き上げ生きるために誰の土地とも分からない土地で
    中華の店を開いて4人の子供(慎之輔・太二郎・今日子・基三郎)をもうける。
    誰でも受け入れ、自由に育てたのだが子供たちはそれぞれに問題を
    抱える。基三郎は反戦運動に関わり自殺し、太二郎は哲学的思考で
    教師となるが教え子と恋に落ち、今日子は人の出入りの多い家に
    とまどい別なタイプの男と結婚するのだが失敗して出戻る。
    慎之輔は店を継ぎ大学出の文江と結婚して(基樹・良嗣)をもうける。
    基樹と良嗣は裏庭の木に太二郎と小屋をつくって遊ぶ。
    過去を語らない祖母ヤエのために太二郎と良嗣と3人で過去をたどり
    中国にわたって当時世話になった中国人を探すのだが・・・・・・・・・・。
    
    題名のツリーハウスとは希望にみんながぶら下がった家という意味と
    太二郎たちが木に建てた小屋の意味があるのだろうか。
    戦争に翻弄された人々の必死な生きざまが描かれた長編作品だ。
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