熊谷達也は好きな作家の一人である。
図書館に新しい本が入らなくて諦めていたのだが。
やっと「浜の甚兵衛」が入った。
熊谷達也は東北、北海道の話が多く、セリフも自分の耳には
心地いい。「邂逅の森」など熊を描いたのがいいが
面白かったのは戦争末期のどさくさを描いた「群青に沈め」だ。
「浜の甚兵衛」は
妾の子に生まれた甚兵衛は屈折した子供時代をおくりながらも
仲間を集めて仲買船をやり、次には
ラッコ船をつくって、オットセイやラッコを千島などに追って大金を
つかむ話だ。明治・大正時代の豪快な人柄を描く。
最後の場面は災害があると最初は同情していても時間が
経つと結局はお金に左右される人間の哀しさをいいたかったのか?
読みやすいのがいい。