西村京太郎『近鉄特急殺人事件』を読む。

西村京太郎作品。亀田コミュの図書館から借りた新刊単行本。西村作品は初めてかもしれない。本なら何でもいいという自分だからたまにはこんなサスペンス本もいい。

近鉄特急殺人事件』

ご存じ十津川警部が主役だ。歴史雑誌出版の会社に勤める社員が殺された。同棲している同じ会社に勤める女性及川伊世は伊勢神宮の近くで発見されたのだが男の死亡推定時刻は朝5時から6時。伊世が犯人なのか。朝5時に家を出たという伊世はどう伊勢まで行ったのか。そしてまた女性が乘ったと思われる特急で大学の歴史学准教授中村が殺されていた。テレビに出演している中村が打ち合わせで伊世と歴史問題で激しい議論があったと噂された。及川伊世は伊勢神宮の傍で辻説法をしていた。「まもなく第2の元寇が襲来する。それに備えて信仰の気持ちを強く持って災害退散を祈ろう。」と。

実は伊世の祖父はかって名刹の住職をし、大戦でGHQに追放された歴史があった。

仏教の力を信じて行動した結果であったが元寇を押し返した仏教・信仰の力を次に来る日本の国難に向かえと伊世に遺書を残していた。伊世はそれを信じて行動した。

国難とはコロナではないかと・・・。

(殺人事件を描きつつ大戦時の仏教と神道の人たちの辿った行動を弾劾しているようだ。仏教は信じるだけの力があるのか・・・。)