窪美澄『アニバーサリー』を読む。

窪美澄作品。窪作品は3作目だろうか。アニバーサリーとは記念日とか周年とかいう意味があるらしい。子供の頃に疎開そして終戦、結婚、子育てそして一念発起してスイミング指導の仕事と一生懸命生きた女性の物語。子育てとか家族について考えさせる。

『アニバーサリー』

晶子は質屋を手広く経営していた父母に愛されて育ち子守りさんもついていて不自由ない子供生活を送っていたのだが戦争・空襲・疎開。千代子という親友を得て疎開を乗り切ったのだが終戦とともに離れ離れに。晶子は報道関係の仕事の夫と結婚。4人の子供を得たが二人を小さい頃に失う不幸も。自立しようと妊婦のスイミング教室の講師の仕事を得る。そんななかで真菜という女性が生徒として来る。真菜は母が料理の腕をあげてテレビの料理講師として売れっ子になって多忙を極める。高校生だった真菜はそんな母に愛情を感じず不良少女を親友として売春などの荒れた生活に。卒業後趣味のカメラで身を立てようと売れっ子のカメラマンに弟子入りし恋し妊娠し捨てられる。

そんな真菜が教室にきたのをほっとけず親身になってお節介を焼く。女の子が生まれ

戦時中に分かれた千代子とも偶然再会し生まれた女の子のおばあちゃんとして世話をやくことに・・・・。

(血のつながった家族だから分かり合えるということはない。戦後どんどん便利になった。みんなが望んだからだ。だけど何かが少しずつ失われたものがある・・・。)

☆☆☆