遠藤周作『悪霊の午後』を読む。

遠藤周作作品。「沈黙」いらい遠藤作品から遠ざかっていたがなんとなくこの本を手に。作家が主人公で人は意識だけがすべてだと思っているが無意識の世界も合わせの人間だと。夫を事故で亡くした温和な未亡人が実は男たちの無意識な欲望を呼び覚ます魔女の話。

『悪霊の午後』

病弱で入院中の妻を持つ作家藤綱は紹介された南条英子を秘書に雇う。なぜか愛妻家の藤綱がいつしか彼女が気になって仕方がない。仕事に差し支えるから辞めてもらったのだがそれでも気になる。藤綱の秘書から画廊の受付に転職しても気になる。英子に恋心を抱き夫の事故に関心をもった会社員の菊池も、藤綱が相談した精神科医の宮島も英子に取り込まれてしまう。画の大家の荻野も英子に取り込まれマンションの一室で赤ちゃんの真似をするようになる。菊池はついには殺人まで犯してしまう。英子は人のもつ無意識の欲望を察知してそれを告げる事で男を取り込んでしまうのだ。藤綱は自殺願望を察知されて心を病みついには入院して何度が自殺未遂をするまでに・・・・・・。

それを救ったのは入院中の妻だった・・・・。

正宗白鳥は「どんな人間もそれを知られれば死んだほうがましという秘密がある。」

と書いているという。英子はバリ島の魔女伝説の魔女の生まれ変わりなのか・・。)

☆☆☆