仙川環『流転の細胞』を読む。

仙川環作品。医療関係の著作の多い仙川作品のひとつ。中絶の胎児が医療に役立たないかという問題を取り上げた作品。

『流転の細胞』

僻地の支局に移動になった女性記者友美は東京の本社に恋人がいることもありくすぶっていたのだが記者のたまり場のバーに働いていた女性石葉が失踪したという話に興味を持つ。しかもこの町に赤ちゃんポストを開設したという話に張り込んでいた友美の目の前に石葉が赤ちゃんを抱いている。声を聞こうとしたが逃げられる。これは訳アリと真相を追い求める。調べると石葉は東京近郊で結婚していて子供はひとりいて子供は脊髄をやられ重症の車いす生活。生活に耐えられず支局の地に逃げてきてバーで働いていたらしい。さらに調べると妊娠中絶の胎児の細胞を使って脊髄移植の研究者とも関係がありそう。単なる生活が嫌で逃げたのではないらしい。しかし石葉は中絶せずに子供を産んだのだ。友美は仕事以上の気持ちで石葉を追う・・・・・・・。なぜなら友美の恋人はニューヨーク支社に転勤が決まって結婚を迫られていたのだ・・・。

(僻地に追いやられた友美だが真剣に石葉の心境を追ううちに友美もまた記者としても人間的にも成長していく。)

☆☆☆