伊東潤『首』を読む。

伊東潤作品。短編集。戦国の戦の時代には戦場で敵の首を取ることが出世の道であった。この作品は合戦における武士の首にたいする執念ともいうべきものが描かれる。

「頼まれ首」「間違い首」「要らぬ首」「雑兵首」「もらい首」「拾い首」

『首』(戦国奇譚)

「頼まれ首」では対岸に逃げた敵を追って若くもない武士が味方の嘲笑を浴びつつ敵の首をとるために川を渡る。やっと渡ったところに幼馴染が瀕死の体で倒れていた。

敵を倒して首をとるばかりで自分も討たれたのだ。手当をして敵の首を取り味方の陣に帰って首を見せたが幼馴染の手柄とは言えない雰囲気に。首は敵の重鎮だった。

祝福されたのだが・・。死んだともっていた幼馴染は息子が探して助けていた。

そして命も意識も戻っていた。友の手柄を横取りしたとして切腹の目に。実は父も敵の大将の首をとったのだが敵将から頼まれた首だった。親子二代・・・・。

「間違い首」は戦場で命を落とすのが嫌な武士が功名心だけはあった。戦場を彷徨って若者の死体を見つけて首を切り取ったのだが首実検に持ち帰るとなんとその首は味方の大将の親戚のものの首であった。

「要らぬ首」では摩利支天の信仰厚く連戦しても傷も負わない若き武士が占いで4つの首を取ったら凶という卦がでた。合戦で4つの首をとってしまった。従者に3つだけ持って帰ったらいいではと助言され3つの首を持って帰った。その時矢が飛んできて急所を撃たれた。3つのはずが何故と横を向いたら従者が1個の首を持っていた・・・。

などなど。

(短編は起承転結が分かりやすく作家の手にかかるとシャープな面白さが。)

☆☆☆☆

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