#熊谷達也『無刑人』を読む。

熊谷達也作品。図書館にやっと目新しい本を見つけた。熊谷作品は大好きである。

相変わらず東北を題材にしているのがいい。岩淵善之助から幸七郎そして考七郎そして芦東山と名前を変えるが儒者のまっとうな生き方を描いた一代記である。

『無刑人』(むけいびと)芦東山

奥州仙台領の渋民村の大肝入(おおきもいり)の子として生まれた善之助は勉学好きの頭のいい子だった。6歳の時友達と釣りに行ってアケビを見つけて善之助は下で受け取り役、上まで登らされた子は枝が折れて川に流されて死に、けしかけた子も戻って間もなく急死。真実を話すかどうか・自分の罪はなにかで善之助は生涯悩むことになる。

本を読むことが好きで次々に師を求めて儒者の道を進み仙台で遊学し京に留学し朱熹に辿り着く。藩主に認められ参勤交代のお伴をし藩の儒者となるのだが何しろ芦東山は真っすぐな性格ではっきりものをいい融通をきかせる性格ではなかったので仙台での学問所設立の建白が認められず主張が強すぎてついに重臣のもとに預かりという判決を受けてしまう。幽閉の日々のなかで年月が過ぎやっと解放されたとき仙台で私塾という話もあったが故郷にもどって民のために尽くそうと・・・・・。

(無刑録という大作を著した仙台の偉人なのだろう。頭が良くて真っ正直で融通の不得意な男の生き様や儒者らしい問答もおもしろい。)

☆☆☆☆

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