湊かなえ「望郷」を読む。
6つの短編が「白綱島」の出来事を中心にして「望郷」を感じさせる構成。
「みかんの花」
風来坊と駆け落ちした姉が有名作家となって帰郷する。
実は母が風来坊を殺して姉が埋めて駆け落ちの形にしたのだ。
「海の星」
父が失踪。母子で探し待つのだが。漁師が母子に親切にする。
実は父は自殺をしていて漁師の網にかかったのだが海に戻して
口をつぐんでしまったのだ。
「夢の国」
絶対的な力をもつ姑の前にどこにも行けない女の子。
結婚してもその家でも姑が。やっと親子でドリームランドへ。
「雲の糸」
母が父を殺し、いじめを受けて島をでた子が有名シンガーになる。
いじめた島の有力者がシンガーを招待する。
「石の十字架」
島で台風にあって家に浸水しやっと母子で助けられる。
子供のころ心許す友と観音様に彫られた十字架をみつけた
思い出を浮かべて窮地に石鹸に十字架を彫って助かる。
「光の航路」
教師が島に転勤して実家にはいる。放火を受けて負傷入院した
病院に父の教え子が訪ねてくる。いじめでの死から助けられたのだ。
〇「雲の糸」には泣けた。島という閉鎖社会には優しさ、絆、習慣
いろいろなことが良くも悪くも絡みついてくる。
それでも故郷の思いから解き離れられない。自分もそうである。