朝井まかて『最悪の将軍』を読む。

朝井まかて作品。徳川幕府の5代将軍綱吉が描かれている。時代ものにはやっぱり系図をつけてくれた方がいいなあ。犬公方といわれた綱吉はどんな将軍だったのかタイトルの最悪というのは庶民にとって最悪なのか・仕える者たちにとって最悪なのか・綱吉自身が最悪だったのか。

『最悪の将軍』

綱吉は将軍になる系図からは外れていたのだが思いがけず将軍になってしまった。

武家諸法度もできたが世は武から文への過度期。綱吉は世の中が落ち着いた今、文へ大きく舵を切ることに。大老堀田・能吏柳沢吉保・牧野とともに政務にいそしむ。妻信子への愛情も厚く信子が生んだのではないが鶴と徳松の子もでき、庶民の慈愛を第一に政務を進めるのだが・・。この時代に自然災害が多発。富士山の爆発・地震・洪水・大火事。そして綱吉の優しさからだした生類憐みの令も犬公方と揶揄されるなど庶民から誤解される。またこの時代には外国勅使を挨拶を受ける直前に起きたいわゆる忠臣蔵事件。また大老堀田の暗殺事件など綱吉は仕事に忙しいが徳松の不幸もあり空回りした将軍なのかもしれない。その意味では最悪の将軍なのかも・・。

(民は国の本也。とした綱吉は名君だったのだが災害もあり十分理解されていたとは言えなかったかも。)

☆☆☆