永瀬隼介『罪と罰の果てに』を読む。

永瀬隼介作品。初めて読む作家。1960年鹿児島生れ。ジャーナリスト出身という。

ドストエフスキーばりの題名で内容も神の信仰に関することから事件が描かれる。

罪と罰の果てに』

カルト新興宗教に入り込んで農場で働く両親に育てられた聖斗と聖美はひどい生活を強いられ母親が自殺してからは縁戚の豆腐屋の離れで二人だけの生活。美しく生まれた聖美を自分が守ると幼いうちから豆腐屋を手伝い絶対かって住んだ三鷹に戻るという夢を持つ聖斗。

中学の時友達がキリストのような優しい番屋に住む男のところに連れていくのだが聖斗は神なんかいない、偽物だとして聖斗はその男を殺害して金を奪い東京に兄妹で出る。

なんでもやって人材派遣の会社を興し成功していく。妹の聖美を大学まで行かせるのだが・・・。聖美は研修でアフリカに行った時の経験が強烈でアフリカの貧しい人々を救済することを生きがいとするようになって戻って「ルビー」というNPOを設立して活動を始めた。兄妹の生き方が変わってしまった。聖美は兄を避けるようになり兄は絶望していく。かってのカルト集団から変化した「幸希の会」というところから聖美のNPOは高額の寄付を受けていた。幸希の会がらみの殺人事件もおこり刑事が調査を開始する。

聖美が会から拉致されて八ヶ岳に救助に向かう聖斗・東一・刑事の幸太・・・・・。

結局 助かって生きて帰ってきたのは聖美と東一。神がいることを信じた二人。

(カルト新興宗教のボスはいう。「ひとりが妄想につかれると精神異常だが集団になると宗教になる。善人が悪事をなすには宗教が必要である。」)

☆☆☆