仙川環『極卵ごくらん』を読む

仙川作品。年の瀬もマイペースで読書をする。相州地鶏という昔栄えた鶏を復活させて「極卵」という名で販売しようとした養鶏家山田謙太。しかしポツリヌス中毒で10人の死者と多数の患者を出す事態に。「極卵」を取材していたフリー記者瀬島桐子は真相究明に立ち上がる。登場人物それぞれの個性がはっきり描かれて読みやすい。

『極卵』

無農薬商品を扱う店「緑の食卓」。人気美人ブロガー野々市純子は「極卵」を買うのだが息子に食べさせた卵で瀕死の重傷に。10人の死者が出るほどの中毒事件に。

瀬島桐子はなぜ山田養鶏場でポツリヌス菌が発生したのか。フリーライターの石黒や自然食品支援ネットという如何わしい団体などは全羽検査を要求するなど大問題になり山田の父は自殺する。石黒は問題の鶏は遺伝子組み換え鶏でそこから中毒事件が発生したと告発するのだが・・・。瀬島は相州地鶏を開発した研究所に踏み込んでそこで研究員の津田という男の経歴のなかに遺伝子組み換え研究を発見。追い詰めるも自白の後に自殺してしまう。

(この中毒事件にはどんでん返しが。大手企業が遺伝子組み換えに不安をあおり自社に有利な状況をつくろうと正義感を持つ若者やジャーナリストを使った結果が中毒事件を引き起こしてしまったと。情報に振り回されない賢い消費者になるべきだと筆者はいう。)

☆☆☆

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