秋山香乃作品。「五稜郭」という言葉に惹かれて手にした。幕末について数ある著作があるらしい作家という。幕末に活躍した桂・高杉などの著名人から愛された男らしい後に日大の前身や国学院を創立した人物山田市之充こと山田顯義が主人公だ。
『五稜郭を落とした男』
吉田松陰に14歳の時に心酔した山田市之充は祖父亦介に薫陶をうけて松下村塾に入る。
高杉晋作や久坂玄瑞らに可愛がられて尊王攘夷運動に参加していく。
幕府の長州征伐などの困難を乗り越え鳥羽伏見の戦いで討幕の機運は盛り上がるがこれまでは玄瑞や晋作の後をついていくだけだったが奥州征討では司令官として薩長双方から信頼されるようになり箱館戦争の指揮をとる。榎本などの籠る旧幕軍に恭順させようと心をくだき兵や榎本らの命を守って松陰の日本建国の思想を継承したといわれる。
山県有朋らが軍備拡張に傾くなかで戦後は法律のほうにすすみ司法大臣など歴任し兵は凶器なりとして軍の独走に懐疑的な思想を貫いたとされる。
(さすがに幕末の作家で明治政府成立まで詳細に語られる。箱館戦争も新政府の側から描かれて面白い。)
☆☆☆