池井戸潤「架空通貨」を読む。

池井戸潤氏。正義感・熱血溢れる主人公が活躍して気持ちよく読める。

今回の本は「お金」に振り回される人間の浅ましさ、大企業による城下町が

企業の下請けなどの弱みに付け込んで架空通貨である田神札なる私債を発行して

大混乱に陥れる話。大企業は絶対潰れることがないと信じる城下町の人々の

様子は新型コロナウイルスでも日本は潰れることはないと甘えていろいろ

注文をつける状態がダブって見えるのは俺だけか。

「架空通貨」

 商社から高校の社会の教師に転向した「辛島」は女生徒の「黒沢麻紀」の

 悩む姿になんとかしようと立ち上がる。黒沢は父の会社が取引先の田神亜鉛

 という会社によって倒産寸前だという。田神の町にいってみると大会社の

 横暴で田神札という城下町だけで通用するお札を発行して下請けや商店は

 困っていた。その上調べてみると田神亜鉛は計画倒産を目論んでいた。

 暴力団との関係やコンサルトの女性の加賀が絡んで読み手を飽きさせない。

 人生はオルゴールと一緒。一生懸命お金をもとめてネジを巻き続け富を得て

 神のメロデーを聞くしかし止まる時がくる。鳴らないオルゴールは単なる

 ガラクタだ。田神社長の人生哲学だ。

☆☆☆☆

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