吉田修一「橋を渡る」を読む。
とにかくいい文章を書く作家の印象が強い。
春ー明良(あきら)、夏―篤子、秋ー謙一郎
それぞれの家族の日常が独立した短編として成り立っているのだが
微妙につながっている。時事問題も随所にでてくるのが新鮮でもある。
「春」
市議会で問題になったマタハラヤジを夫がしたのではないかと妻が疑い、
それがうやむやになってることに妻がこだわる。
「夏」
夫が友達のために入札価格を教えて500万受け取って
隠しておいたのを妻は知ってそれにこだわる。
「秋」
謙一郎は和太鼓のサークルで知りあった彼女と結婚を決めた。
彼女はサークルの妻も子もいるサークルのリーダーに惚れてる。
式も決まってるのに彼女はリーダーに会いに行く。
謙一郎は「不幸になるのは見えている。自分は正しい」
彼女は「間違っているかもしれないが自分には正しく見える。」
謙一郎は結婚を考えさせてという彼女を殺してしまう。
「そして冬」
時代は70年後。2085年。
血液から人間ができる時代になる。人間と血液からできた人との
共存の時代である。
面白く読めるのだがよく分からないのが実感。