村木嵐『まいまいつぶろ』を読む

村木嵐(むらきらん)作品。1967年京都出身・京大法卒。江戸時代第9代将軍家重は生まれる時に障害を起こして手足にマヒ・言葉もはっきり喋れなかった。第8代将軍吉宗は将軍職にするか悩んだ。人々から「まいまいつぶろ」と言われ、カタツムリ将軍・小便将軍といわれた家重とそれを支えた大岡忠光の話である。

『まいまいつぶろ』

吉宗の嫡男で幼名を長福丸といわれた家重は身体と喋りが不自由だった。きちんと座れず話が通じなかったからおもらしをすることも度々だった。一方次男の宗武は聡明で男前で優れていた。誰もが家重を廃嫡して宗武を次の将軍にすべきと思っていた。ある時家重の話を理解する男が現れた。大岡忠光である。奉行大岡忠相の親戚である。忠光は家重の通詞に取り立てられた。忠相は忠光にいう「家重の口に徹すること。目や耳になってはならぬ」と。忠光は家重が将軍になることを願い、人から誹られぬように何一つ受け取らず家重の話すことを通詞することに徹した。京から家重は比姫(なみのみや)を妻をもらう。比宮も家重をよく理解し一度妊娠するも子をもうけられず亡くなってしまう。忠光に比宮についてきたお幸に家重の子を託す。家治が生まれた。聡明な子であり吉宗は可愛がった。そして第9代として家重を将軍に。家重は痛みの分かる将軍として忠光の口を借りて力を発揮し第10代家治に将軍職を譲るまでに・・・・・・。

(まいまいつぶれとはカタツムリのことである。晩年重い殻を背負いながらいろいろいられたけれど無事将軍職を全うしたことを忠光と感慨にふける・・・・)

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