函館山の麓にある火葬場から一歩外にでると鶯の初鳴きを聞く。あああ。
福
「お前の骨は俺がひろってやる」

元気な時にはそんな冗談をいうものだ。
S君の死を前にして
S君は好まないかもしれないが
彼の骨をひろってやりたいと思った。
自分だったらひとりでもそんなことをしてくれたら
きっとうれしい気持ちになるだろう。そんな友がいたことを。
お通夜の席を飾るS君の遺影はにっこり笑っていた。



