伊東潤「江戸を造った男」を読む。


   伊東潤の小説は何冊目になるのだろう。
   河村瑞賢という名は歴史で習った気がしたがこの本は
   河村屋七兵衛(河村瑞賢)の一代記だ。司馬遷菜の花の沖」の
   高田屋嘉兵衛にも通じる傑物であったらしい。
   「江戸を造った男」
    ひとり口入屋に連れられて江戸に来た七兵衛は人より働いて
    4人の子をなすが明暦の大火で焼き出され、これからは木材だと
    買い出しに木曽に向かい誠意をつくして商談して一旗あげる。
    小欲を捨てて人のためになる仕事に精を出して商人や幕閣にも
    信頼を勝ち得て東回り航路や西回り航路を確立し、越後の治水、
    近畿の淀川の治水にも力を尽くす。最後は越後の銀山を軌道に乗せる。
    人を見る目をもち自信家だけの新井白石の能力を見抜いて後見
    したのも七兵衛であった。
    商人や上に立つものの鑑のような人であったようだ。
    490頁と長いが一代記なので楽しく読める。  ☆☆☆
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