辻村深月「ツナグ」を読む。
この本は死者と生きてる者をつないでくれるという話である。
夢のような設定なのだ。
逢いたいと使者(つなぐ)に頼むと死者がOKを出すと無料で
会える。死者もまたひとりだけしか会えない。どちらも一度きりなのだ。
しかも恐山のイタコのように霊を呼び出してくれるのではない
生きていたままの姿で普通に話ができる。ただし夜が明けるまでだ。
アイドル・長男・親友・待ち人・使者の心得と題してそれぞれが死者に会う。
例えば「親友の心得」では
御園と嵐という女の子の親友が演劇部で主役の座をめぐって思いがけず
ふたりとも立候補して御園が主役を射止めるのだが絶対嵐が主役と
思っていただけに裏切りと感じて殺してでもと思う。そんな時御園が
自転車事故で死んでしまう。もしかしたら自分が殺したのではと
使者に御園に会いたいと伝えて会うことになるのだが・・・・・・・・・・・・・・・。
生者もつなぐ者も死者も心は「良かった」だけでは終わらないという話。