谷村志穂「尋ね人」を読む。

  谷村志穂「尋ね人」を読んだ。

    台風21号での大荒れのなかでこの本を読んだことは不思議な感覚だ。
    谷村さんは「海猫」以来函館には深い縁があり、しかも
    この作品は洞爺丸台風が重要なモチーフになってるからだ。

    函館に生まれた女性李恵が失意のうちに、病気を患いひとりで暮らす
    母のもとに帰ってくる。母の結婚前の恋愛話を初めて打ち明けられる。
    好きな人との出逢いとその人の失踪の話だ。母に50年前の失踪の恋人
    を探してくれるように頼まれる。手掛かりのないなかをたどりたどり
    大阪で働いていたことを突き止める。
    真実は彼は一度は失踪したものの結婚を決意して函館に戻った時は
    母は結婚していた。彼は大阪に戻ろうと洞爺丸に乗って・・・・・・・。

    さすが谷村作品。手がかりの手紙もすばらしいが男と女の機微や
    次はどうなるだろうというぐいぐい読ませる力がある。一気に読めた。
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