江差の祭り余話。切声。

   江差の祭りの夜。

  江差の同期の友とミニ同期会を開いた。
  ふたりでスナックに飲みにいったのである。

  ママの話では祭りの夜はいつも隙なのだという。ずっと二人きりであった。
  町内のことをよく知ってるおしゃべり好きな綺麗なママであった。 
  気持ちよく飲んでるとどやどやと半纏をきた山車の若い衆が入ってきた。

  そして10数人で「切り声」を歌いだしたのである。提灯をかざしながら。
   エンヤー エンヤーサヨースドッコイ  
   ヨースドッコイナー よく分からないが掛け合いをしながら歌う。

  それがいい男たちがいい声、渋い声。感動した。お酒がさらに旨くなった。
  持っていた提灯と半纏には「義公山」と書いてある。
  五勝手の街の山車の船頭さんたちだったようだ。

  江差のお祭りの夜は飲みにいくと思いがけないいいことがある。

  後日談。連れの人は感動のあまり切声を歌った人を訪ねてお礼をいったそうだ。