秋山香乃『氷塊 大久保利通』を読む。

秋山香乃作品。北九出身の作家だから幕末ものが多いのかもしれない。維新における大久保利通の活躍は何度も読み・聞いたことであるが改めて維新がなった奇跡のような出来事を考える。

『氷塊 大久保利通

薩摩藩における立場は高いものではなかった利通は西郷とは肝胆相照らす仲であったという。斉彬に可愛がられ斉彬に心酔する形で利通は頭角を現していく。言葉は大事だが言葉の通り実行していくのは武という力が必要と王政復古を実現するために薩長同盟に関わり幕府の切れ者一橋慶喜との政争に悉く敗れながらも頭を回転させて公武合体から王政復古へと勝ち取っていく。維新の成功はそれからが大変で日本を諸外国から守り真の国家として成り立たせるために三条実美岩倉具視とともに利通が海外に行ってる間に勢力を伸ばした江藤新平を追い落とし、西郷とも袂を分かって氷塊のような意思をもって事にあたった大久保利通が描かれている。まさに大久保利通がいなかったら近代日本はできなかったのではないかと思わせる。

大久保利通は日本のために、国民のためにという軸が一番ずれなかった政治家だったのだろう。)

☆☆☆