塩田武士『歪んだ波紋』を読む。

塩田作品。「盤上のアルファ」と「盤上に散る」に続いて塩田作品を読むのは3作目。

今回は新聞記者出身らしく立法・司法・行政の3権力に続く第4権力とされるメディアを潰すべく意図的にメディアの誤報や嘘の情報を流してメディアを潰そうとする策謀を描く。メディアが足で情報を得ずにネット頼りの情報社会に警鐘とも取れる話。

『歪んだ波紋』

人出も予算もなくなった新聞社が確かめもせずに情報を流してそれが誤報で大変な目に遭った人が出た。訂正もせずさらに拡大していった結果。定年になった記者が後悔から自分の足でメディアに今なにが起こっているかを調べていくと過激派ともいえる人たちが意識的に虚偽情報を流して混乱させていることに気づく。正しく・人の役に立つのがニュースと言われてきたけれど正しいより面白い、人の役より自分の役に立つ、そんな情報が飛び交い、将来的には一部の人が個人データを吸い上げて都合のいいニュースの創作合戦になるような時代が来るのではないか。

(ネットの情報が氾濫してどれが真実か分からない中で組織的に多量の情報をながしたらメディアも取り込まれそうだ。ひとりひとりが賢くなるしかないかも。話が複雑。)

☆☆☆