有栖川有栖『幻坂』を読む。

有栖川作品。初めて出会う作家。1959年生まれ。大阪出身。同志社大卒。

大阪には南北に走る高台があって谷町筋松屋筋との間に大阪7坂とか四天王寺7坂と言われる寺社が集中する風情のある坂があるという。この坂を題名にして小編が連ねられる。

『幻坂』(まぼろしさか)

清水坂」は京都の清水寺に由来した坂。ガラス屋の息子2人と妹それに仏具屋の息子の4人の子供たちがこの坂でよく遊んだ。筧から落ちる水が赤く見えた。胸騒ぎを感じた時妹が交通事故で亡くなったと連絡が・・・

「愛染坂」は道で女性に「先生の御作品の読者です」と声をかけられた。その女性も物書きを目指してたのだが付き合うようになり結婚したのだが・・・。

「源聖寺坂」は同窓会があってそこで見た絵がかって歩いた源聖寺坂の絵だった。そこに描かれた子供の絵がヒントでその家の庭には子供の遺骨が・・・・。

「口縄坂」は織田作之助の作品の一節が碑に刻まれて立っていた。娘が何かに寝ている時に舐められる夢を見て金縛りに。その解決に坂の途中で友達とキスをする・・・。

真言坂」は翻訳をしている娘が男に好意を抱いていたのだが別な男が付きまとうほどに好かれて好意の男にその話をしたらマンションのメールボックスをあさる男に注意したら男に腹を刺されて殺された・・。

天神坂」は客も料理屋の亭主もあの世の人という話。

「逢坂」は劇団の作品を完成にむけて座長と団員が意見が一致しない。怒鳴られてばかりの団員がやけくそでやったら座長に褒められる・・・。

(最後の2編は芭蕉の死の間際の話と四天王寺に関係する西行と家隆卿の話。)

☆☆☆