荻原浩『それでも空は青い』を読む。

荻原作品。久しぶりに荻原作品。短編集。人生いろいろあるけれど空には青空は拡がっているというのがテーマなのだろう。7編収録。

『それでも空は青い』

「スピードキング」は小さいころから才能溢れた投手でプロ野球に入り、スピードキングとも言われた藤島。貧乏でやっとグローブを買えるような家に育った男が高校の時にちょっとだけ野球部という環境にいて一緒だった、そのことが生きた証のようだったのだが「死んだ」というニュースにショックを受ける。

「妖精たちの時間」は高校の同窓会の思い出。転校してきた美少女に想いを抱いていた学生時代。彼女が出席すると聞いて案内状に出席で出す男の話。

「僕と彼女と牛男のレシピ」は入院した時の7歳年上の看護師に恋をして結婚したいと思う。彼女には男の子がいて離婚したばかりだった。子供の心を掴もうとする男の話

「君をまもるために」は犬好きの独身の女の子が室内にカメラをつけていつでも愛犬を見れるようにした。あるとき見ていた画面にベッドに寝ている足が映っていた。しかも田舎の学校の同級生が最近亡くなってその霊も住み着いた・・・。

「ダブルトラブルギャンブル」は一卵性双生児が小さい頃はお互いに取り換えあったりしてよかったのだが大きくなってひとりの女性に二人が恋をした。さて・・・。

「人生はパイナップル」はパイナップルに思い入れのある祖父に子供の頃から野球を教えられた。祖父に戦中語を交えた野球用語で野球を教えられた少年は大学の野球部で活躍する。何年ぶりかで帰省した時仏壇にパインを供えた。

(荻原作品はいつものように軽妙で明るい。まさにそれでも空は青いだ。)

☆☆☆