北村薫『ターン』を読む。

北村薫作品。本格ミステリー作品。ミステリー作家は頭を使う大変な作業だなあ。

銅版画作者の若い女性が交通事故で人事不省で入院した。身体は入院してるが魂は異世界へ。しかもそこは人は誰もいない、ヒラカナでいうと「る」のような世界。何をしても事故前の時間に戻る周回の世界にきてしまった。人は誰もいない自由な世界だが孤独な世界。そんな時ひょんなことから電話が繋がった・・。異世界との交信。

『ターン』

森真希は銅版画の作品がやっと売れるようになって業者に置いてもらえるようになった。そんな時交通事故を起こしてしまう。気が付いたら異世界に来ていた。電話をしてもどこにも繋がらず、人はどこにもいない世界。そんな時に電話が鳴った。真希の版画に心を寄せたイラストレーター泉が仕事の話をしようと電話したのだ。不思議なことに彼だけと話が通じた。頼みの綱の電話をずっと切らずにふたりは事情を話して母と連絡をとり入院している真希の様子を見に行ってくれたりするが母とも話は通じなくて泉を仲介してのみ会話ができた。そのうちに二人は心が通じて愛情も増していく。

同じように交通事故を起こして別世界に飛び込んできた男がいた。やっと話ができると思うのだが犯罪を起こして事故も起こしたひどい奴だった。なにかと絡んでくる相手から逃れようとするがそのうちに姿が消えた。身体が死んだのだろう。自分はどうなるのだろうと心配するが・・・。病院に行ったら身体は意識を回復した・・・。

(入院している身体が意識が戻って泉と親しくなったら異世界の自分はどうなるのだろうと悩み続ける。実際の世界と異世界のはざまで悩みつつ交信する話だ。)

☆☆☆