宮ノ川顕『化身』を読む。

宮ノ川作品。(みやのがわけん)と読む。1962年生まれ。福島県出身。日大卒。ホラー大賞をとった作家。初めての作家。3篇の小説が収められているが面白い。

『化身』

「化身」は仕事に意欲も見えない男が誰にも言わず海外旅行。行った先の島で断崖絶壁に囲まれた池に落ちた。絶望的ななかで蟹を食べるようになり小魚を・次には鳥を取って生き延びるが能力がたかまるにつれて身体にコケが生え手足が小さくなるなど化身していく。

雷魚」は小学の子供が裏山で雷魚を見る。友達に話すも嘘つきと言われる。学校では口裂け女などの怪談が話題だった。汚名挽回すべく池に通って糸をたらす。そんな時美しい女性が池に来るようになり女性は子供を励ましてくれる。いつしか女性に魚を釣ってみせて喜んでほしいと。祭りの日。途中で大雨がそんな時は雷魚が釣れると・・。

池が大荒れで這う這うの体で帰る。村人が池の水を抜くとそこから首にひもが巻き付いた女性が発見された。口裂け女の噂は本当だったのか・・。彼女は幽霊だった?

「幸せという名のインコ」はデザイン事務所を営む夫婦に中学生の女の子がいた。

経営は苦しかったが娘が小鳥が欲しいと願いに負けて真っ白いオカメインコを飼うことに。ハッピーと名付けた。賢くよく喋った。実母の死の前日に「ババア」と鳴いて予言みたいなことも。経営が苦しくなって実母の遺産をもとにデイトレイドで稼ぐようになったがうまくいかずたまたまハッピーが株と喋る時に売ったり買ったりすると大儲け。

ハッピーに頼るようになった男はある日「アヤコシヌヨ」という喋りを。妻が死ぬ予言と病院に行けせるも問題なし。そのうちに自分がトレードの神経疲れで痩せていった。

改めてよく聞くと「ハヤクシネヨ」と喋っていたということに・・・。自分だった。

(化身は人間もいざとなれば・・。雷魚は子供の憧れみたいなものを、ハッピーはインコの予言やバクチに入れ込む愚かさをホラーの中に隠されていた。)

☆☆☆