赤松利市『らんちう』を読む。

赤松作品。香川出身。関西大学卒。66歳。波乱の人生をおくる。大藪賞など受賞。

「らんちう」とは金魚のこと。

『らんちう』

千葉で旅館「望海楼」を運営していた総支配人が殺された。SSと言われた社会奉仕活動としてみんなでゴミ収集をし次に自己啓発セミナーを行い、コンフェッションと呼ばれた懺悔の会を終えた後だった。異常な精神状態のなかで従業員たちは首を絞めるもの、手足を抑えるものがいて殺された。従業員はすぐ警察に通報した。関わっていないのは支配人の妻でかっての経営者の娘で美貌の支配人の妻だ。

警察の事情聴取という形で関わった人やかっての従業員などの聞き取りという展開で小説は展開する。被害者の総支配人は自己啓発セミナーや大掛かりな勤務体制の変更を実行したのだが従業員にはすこぶる評判の悪い総支配人だがいろいろな人に聴取すると評価は分かれた。総支配人の妻となって美貌と品格で評判の妻純子についても評価が分かれ啓発セミナーの塾長と良い仲で妻は旅館には消極的で塾長と啓発セミナーを旅館でやることで運営しようとしているという話まででた。結局なんで総支配人は殺されたのか、真の犯人は誰なのか。

(駕籠に乗る人、担ぐ人、その又草履を作る人という諺がある。それぞれの役割があるという話で伝わるのだが全文は「箱根山、駕籠に乗る人担ぐ人、その又草履を作る人、捨てた草履を拾う人。欲深き、人の心と降る雪は、積もるにつけて道を忘るる。」という。味があるねえ。)