仁志耕一郎『玉繭の道』を読む。

仁志作品。「とんぼさま」に続いて読む。この作品は父が松本平の小笠原家に仕えた武士であったが京で呉服商を営む。茶屋四郎次郎呉服商を営みながら徳川家康に心酔して商人武士といわれるように呉服だけでなく武器も商うのだが・・・・・。

『玉繭の道』(たままゆのみち)

商売よりも家康に心酔して家康のために諜報や武器の調達などを手掛ける。信長が全盛で毛利攻めの時期に家康が少人数で堺にいた時光秀による本能寺の変が起こる。光秀はこの時家康の首に懸賞金をかけて後顧の憂いをなくそうとする。家康は四郎次郎の力を借りながら伊賀越えで伊賀衆や武者狩りなどに襲われながら手管をつかってなんとか国元まで逃げる話。信長亡き後家康に天下をとってほしいと四郎次郎は武器調達など役立とうとするのだが秀吉の天下になってしまい家康は秀吉の臣下になるも共に天下泰平への思いはひとつであり秀吉に関東への移封にも従った。四郎次郎も長年父や妻から武士の真似事をせず商売に専念するよう言われてきたがやっと商売という王道で家康の力になれることを知り江戸を京都のようなきれいな着物を着た町人が行き交う町づくりへの夢を家康に語れるようになる。家康に四郎次郎は友と言わしめる仲に。

(この本でも覇道と王道が出てくる。秀吉に呼ばれ家康への武器調達で命を取られる状況になってようやく王道に生きることを悟る話。玉繭とは1匹の蚕が普通1個の繭を作るが2匹3匹で1個の繭を作られた繭を玉繭というらしい。)

☆☆☆