中村作品。「遮光」「掏摸」「銃」「土の中の子供」「去年の冬きみと別れ」に続いて6冊目を読む。どちらかというと難解という思いが強くて「掏摸」がまあまあ位だったのだが今回の作品はロシアのウクライナ侵攻という時期でもあり一番感慨深くいろいろ考えさせられながら難解ながらも読ませていただいた。
『R帝国』
R国・A国・B国・C国やGY国は内戦で分離したY国・G国などが割拠するなかでR帝国には加賀・早見などが権力を握って国民をコントロールしわずかに抵抗勢力の野党は片岡を中心に矢崎・栗原・サキなどが戦争のなかで良心のもとに生きようとしている。
為政者は情報をコントロールしある時は自分たちを攻めさせても戦争の元を作り、国民の思考を変える新薬まで作って戦争になるべくしてなるようにもっていく。
加賀はいう「0.1%のエリートに99.9%のチンパンジーが理想」とうそぶき、「党を支持してるのは50%、まともなのが30%・残りの20%は声高なチンパンジー、世界は20%のチンパンジーが動かしている」という。「国民に最も必要なものは富・優越感・良心の満足・承認欲求」「国民への愛、一匹の猫に向き合う愛ではなく、アリの巣全体を見るような愛」をもって接するという。
富を得て国民に愛で包むには他国をも巻き込み国民の弱さを利用し情報や薬を使っても戦争を完遂すると為政者は思うようだ。そんななかで良心を持つ者たちは翻弄されていく。
(R帝国は84%が貧困層でそれが4段階に分けられ最下層は移民が担い、下を見ることによって優越感と承認欲求を満たさせることで一体感を高めていくという。国民を愚かにしていく施策に抗して少しずつでも賢くなっていかないと操られるなあああ。情報統制されたロシアの侵攻は起こるべくして起こったということか。)
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