久坂部羊『怖い患者』を読む。

久坂部作品。もう10冊以上作品を読んだけれど短編5編収録の作品でこれまでのほうが個人的には面白かった。「天罰あげる」「蜜の味」「ご主人さまへ」「老人の園」「注目の的」の5編。

『怖い患者』

「天罰あげる」は大学を卒業した普通の子が市役所に勤めたのだが同僚の女の子の陰口を聞いてから精神的におかしくなる。あちこち医者を訪ねてやっといい先生にあったと思ったら先生は作家との二足の草鞋をはいて自分のことをネタにしてると思い込んで痴漢の冤罪をつくって復讐するのだが・・・。

「蜜の味」は外科医の女医は人は他人の不幸をどっかで喜ぶものだと信じてる。医者であっても病状宣告の時には不幸な宣告であればあるほどどっかでほくそ笑む自分が・。

医者からテレビにも転身してさらに富豪と結婚という幸運も。しかしいつか不幸が訪れるという不安が・。子供が流産という不幸がついに・。そして夫を完全犯罪で・・・。

「ご主人さまへ」は建築士の夫を持ち裕福で幸せと思っていた家庭に主人宛に妻の誹謗中傷の手紙がくる。精神的に疑心暗鬼になって・・・。

「老人の園」は外科医がクリニックにディサービスを併設した。40人収容だがいろいろな高齢者が。痴呆症やら脳梗塞やら認知症やら。柔らかく接していたら派閥のような状況にそして集団での殺人もそして医者の自分にも・・・。

「注目の的」は大学の職員として働く希美に宴会での司会の役が回ってきた。人前でしゃべるのが苦手でいろいろ考えてたら言葉が出ず過呼吸になって倒れてしまう。倒れたらみんなに同情され注目された。しかも抗ウイルス剤を打ったという暗示にかかってしばしば倒れた。抗ウイルス剤の副作用という世間の流れができてグループから被害者として祭り上げられるのだが実は実際は抗ウイルス剤は使用していなかったことが判明して・・。

(老人の園が高齢者の自分には身につまされる。)

☆☆☆

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