岩井三四二『とまどい関ケ原』を読む。

岩井作品。岐阜出身で1958年生まれ。初めての作家。時代小説が多いらしい。

8篇の関ケ原の戦に関わる面白いエピソードがちりばめられている。

『とまどい関ケ原

「大根を売る武者」は関ケ原の戦で緊張感がある時に池田輝政のふたりの家来が大阪屋敷に関所を抜けるのに遠回りしたり口の中に銭を隠したりしてなんとか辿り着く話。

「百尺竿頭に立つ」は安国寺恵瓊が三成が立つにあたって毛利輝元を引き出したいが吉川広家が鍵を握っていた。百尺竿頭の公案で天下分け目の闘いに輝元を引っ張り出す。

「松の丸燃ゆ」は籠城中の伏見城が内通者によって火が放たれ燃えた。守将の鳥居元忠は攻めてを挑発してあっさり死んだ。籠城に付き合わされた甲賀ものたちは無残に・。

「日本一幸運な城」は一番不運な城は岐阜城・幸運な城は犬山城という。

「草の靡き」は関ケ原の戦に参戦した大谷吉継配下の朽木家一党は小早川秀秋の裏切りに監視の役目だったが朽木家もまたどちらに付くか右往左往していた。

「すべては狂言」は吉川広家は徳川方に工作して毛利輝元がトップでも三成に責任を押し付けて所領安堵を狙ったのだが・・。終わってみれば大幅減封。すべて狂言

「敵はいずこに」は徳川秀忠関ケ原の戦に待ち合わせ時間に間に合わず、家康の機嫌を損ねないよう家老は言い訳を秀忠に提言してなんとか家康後の道を確保する。

「十九歳のとまどい」は因幡で城までもった男が奥州まで落ちて馬喰の仕事をするのだがそこに国から人が訪ねてきた。若さゆえに賢い男に騙された過去を語る。

(どれも面白い。表紙が味があるなあ。)

☆☆☆

f:id:yamachanmamechan:20220324131618j:plain