石原慎太郎『秘祭』を読む。

石原作品。昭和59年出版の本。ご逝去のニュースで図書館で特集していた中での1冊。この本は南のはずれの小島にしがみつく人たちの奇祭が描かれる。男と女の絡み合いの描写は流石。石原氏の作品を読むのは初めてかもしれない。

知事時代石原氏は尖閣の守りのために買取の話があったがこの本が原点なのだろうか。

ご逝去に哀悼の意を表します。

『秘祭』

日本のはずれで住民が今では17人しかいない南の小島。リゾート開発の社員高峯敏夫が島を買い取るための交渉のために島に移住する。前任は島で行方不明になったのだ。

沖縄から学校の校長が赴任していて合計19人の住人の島。赴任の時、島の有力者の家では野獣のように鎖で小屋につながれて話もできない男「ミノル」と妻とも娘ともいえるような不思議な女性「タカ子」と出会う。敏夫は島に馴染むよう暮らすうちに「タカ子」と激しい恋仲になる。島の祭りがあった。島外からかって島にいた人たちが大勢帰ってきた。この祭りは島外者には肝心なことは完全に秘密でのぞき見することも禁じられた。観光客・ジャーナリストはなんとか写真などを撮ろうとするのだが禁を破ったものは半殺しの目に。島の祭りの司として祭りを仕切った「タカ子」は敏夫に島から連れ出してと頼むのだが・・・・・。敏夫も半殺しの目に逢い「タカ子」から島の因習を聞いて島の長老たちを詰問するのだが薬を飲まされて「墓」の中へ・・・・。

(時代に取り残されながらも島が一番と島を残すための近親相姦や暴力でも島を守り続けようとする人々。敏夫の後任が来た。土饅頭のような二つの小山を見て問いかける後任に島の人はいう。「人魚の墓ち。昔から人はいうね。」)

☆☆☆

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