秋山香乃『氏真 寂たり』を読む。

秋山香乃作品。資料を駆使しての小説なのでかなり細かい人物もでてきて読むのに大変だが内容は面白い。今川家の栄華と義元の突然の死に伴う氏真の継承。凡人と自覚する氏真の生き方・友との絆・妻への愛などが描かれる。難をいえば人物名や地名にはフリガナが最低線必要だったと思うが・・・。

『氏真 寂たり』

力と栄華の絶頂だった義元が戦死。後を継いだのが今川氏真。戦国時代でまわりは武田・徳川・織田・北条・上杉などが割拠したなかで氏真は今川の人質だった若き家康・

鷹司弥八郎・北条氏規らと雪斎という僧侶の薫陶をうけて友情を育むのだが・・。

徳川を攻める際には21人の家臣が離れるという窮地に。その後も攻められてついに生きるための決断が。時代は織田・徳川に勢いが出てついには徳川の臣に。そしてついに家来たちの生きる道を立てて武士を捨て京で妻志寿とともに気ままに生きる道を選ぶ。

氏真の生き方は静謐な世を作ることであり自分で作れなければ作れる人に託すというもので77歳まで生き延びた。

(家を捨てる難しさ・プライドを捨てる厳しさ。究極の目的のためにはどう生きるかとあがき続けた氏真。北条から政略的に結婚した志寿を愛し助け助けられて共に生た。)

☆☆☆

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