#諸田玲子『森家の討ち入り』を読む。

諸田玲子作品。時代物の3作目を読む。赤穂浪士たちの討ち入りのなかには吉良憎しというだけでない別な意味の権力への抵抗があったという話が描かれる。

『森家の討ち入り』

赤穂浪士の討ち入りには津山森家の元家臣が3人参加していた。神崎与五郎茅野和助横川勘平。綱吉の時代に生類憐みの令という悪法に絡んで御囲といわれる大規模犬小屋の造営を指名された津山森家。財政難と家督に絡むお家騒動で18万石から2万石へと減封されてやむなく赤穂藩へ。彼等の生き様が恋が・・。

「長直の饅頭」は森家の当主になったのだが御囲の苦労話のなかで先代が家臣たちの苦労を思ってせめて饅頭を配って労に報いようとしたのだがその時に当主も奥様も藩一丸となって饅頭を作ったという思い出を語る話。

「与五郎の妻」はやむにやまれず離縁した「ゆい」は再婚して幸せに暮らしているのだがあるとき扇子が届けられた。与五郎からだった。討ち入り前に会いに来たのだった。

「和助の恋」は森家のお家騒動で取り潰しに会うという時に密使としていく途中に襲われて瀕死の重傷に。助けられた赤穂家臣の家で伊登の介抱にあって恋をする。

「里和と勘平」はお互いに子供の頃に遊んだ友。再会したのは御囲という犬普請の場。

里和は森家の隠居の間者として勘平は犬普請をする武士として。妻を亡くしていた勘平は里和が気に入って生母の介護を頼むのだがふたりは家取り潰し側の手の者に人質とされてしまう。勘平は自死した母の意を汲んでなんとしても里和を助けようと・・。

「お道の塩」は当主にやむなく離縁されたお道が赤穂に転封された森家に再婚して赤穂を訪れて人々のために塩で産業をおこした街に思いを馳せる話。

(面白い。忠義ものの家臣たちが権力の恣意で赤穂の浪士となって違ったかたちで忠義を尽くした結果が赤穂の討ち入りに繋がった面もあるということ。)

☆☆☆

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