梶よう子作品。江戸小石川の幕府の施設の御薬園で同心を務める水上草介と西側の薬園を管理する芥川家の男勝りで道場に通う娘千歳を中心とする小品9編を薬草をテーマにちょっとしたエピソードを加えて収録した作品。千歳は淡く草介に想いを寄せている。
『柿のへた』御薬園同心水上草介
「安息香」は同僚が薬園で働く娘に恋をして草介が娘に安息香を見舞いに持たせる話。
「柿のへた」はお転婆で剣術も強い千歳が親戚から預かった少年は剣術は強いのだが試合では負ける。草介が柿を効能をつかって勝つ秘策を授ける話。
「何首烏」カシュウは蘭医の河島は腕はいいのだが頭に巻いていた布が取れたら禿が。
草介は何首烏粥を食べさせて蘭学と漢方との良さを知らせる話。
「二輪草」は畑からトリカブトがなくなった。養生所に入院中の親子が怪しい・・。
「あじさい」はあじさいは土によって色が変わる。隠居が別れた娘だと思って一緒に生活を始めたという。本当の娘なのかどうか・・・。
「どくだみ」は日影に育つドクダミの葉は心臓ににている。
「蓮子」は漢方の薬をつかったお菓子ずくりをする話
「金銀花」はスイカズラのことで白色から黄色に変化する。
「ばれいしょ」は草介が畑に民の冷害などのために馬鈴薯をつくる話。
(草介と千歳に絡めてエピソードや事件を加味してホノボノ感の小品で読み易い。)
☆☆☆