中村文則『掏摸』を読む。

中村文則作品。掏摸(すり)という犯罪的職業に注目。江戸時代の大盗賊石川五右衛門の世界も垣間見える。裕福なものから困窮の人に財産の分配を図る手段として(すり)に着目したのかもしれない。

『掏摸』

小さい頃に人の物をかすめとったことがその手に伝わる感触に染まって僕は腕をあげるのだがその過程で悪の根源的な男の目にとまり仕事を手伝わされて死ぬ目にあう。

当初は(すり)をするたびに遠くに白い塔が見えていた。多分それは良心だったり神の目だったりだったろうが次第に見えなくなるが母親に連れられた男の子がスーパーで万引きするのを目撃して子供に万引きの悪さを教え、すりの手口を教えつつ子供の境遇を直すべく施設にいくように薦める。

(裕福な人からお金をすりとるだけと決めていたのだがさらなる悪人はそれを許さない。芥川賞作家なのだがこの本は一気に読める。)

☆☆☆☆ 

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