花村萬月『花折』を読む。

花村萬月作品。女性を描かせたり、性を描かせたら一級品の作家ではないか。

この本は助平な本であり、男には女性とは、女性には男とはどんなものかを分かった気にさせる本であり作家や画家の芸術についても分かった気にさせる本ではないか。

『花折』

日本画の巨匠の次女鮎子は特に才能ありと可愛がられて育ち東京芸大油絵学科に入学する。頭でっかちの娘だったのだが大学の裏山でオームレスのように生活し絵を描く天才イボテンさんに身も心も打ち砕かれる。奴隷のように身を任すのだが殴られたことで実家の京都に帰省し、イボテンさんは自殺して鮎子の裸体を絵に残していた。

沖縄の新進小説家我謝さんに身を任せるのだがイボテンさんを通しての我謝との性であった。沖縄に渡り夏休みをすごす。家に帰っても飽き足らず自立しようと沖縄に。

沖縄で我謝さんをとおして知り合った車修理工宮地や裕福な家の子仲村などと遊び、惚れこむ我謝を性の奴隷のようにして過ごすのだがいずれもイボテンさんを通しての性であったが・・。沖縄の栄町の売春宿に群がる年老いた売春婦を見て絵のモチーフが浮かび売春婦たちの今と過去の華やかな肢体を描くことで画家としての自立心が確立していく。小説家我謝にかって書きたいといっていた助平な小説を「花折」と題して書くように命令して我謝は鮎子をそっちのけで書きだす。現実には借金にまみれた我謝に鮎子は

売春婦という女性を画き続けた作品を売り出す事で我謝の借金を返済しようと・・・。

(花折とは美しく人柄のいい娘が妬まれて峠から落とされて落とされたところに折れた花がしきつめられていた峠・花折峠からきているという)

☆☆☆☆(若くなりたいと思う高齢者も読んでもいい本かもしれない)

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